工芸家：許陳春
「刺繍」はオリエンタル文化が息づく精巧な工芸技術で、特に中国の伝統文化においては、女性に必須の技能の一つと考えられていました。創作歴60年以上の許陳春氏は、幼い頃より父親の訓練で様々な伝統工芸を学び、中でも特に刺繍に魅せられ、花と纏足用履物の刺繍や、纏花（型紙に糸を巻き付けて作る造花）などの技術を身につけました。また、伝統の平面的な刺繍を、生き生きとした生命力のある立体に生まれ変わらせる「立体刺繍」を、誰に教えを請うことなく独自に編み出し、さらに立体刺繍を新興の手工芸講座や洗練された産業へと発展させました。
子どもの頃より得意であった平面刺繍にしても、独創の立体刺繍にしても、許氏の作品はオリジナルのスタイルとアイデアに満ちており、「鹿港刺繍の第一人者」とも称されています。工房では、全国民俗工芸コンテストで人々を驚かせた古代美女の下着「肚兜」や、生き生きとした快眠アイテム「虎枕」、端午節に身につける各種「香り袋」など、古風な趣とモダンさに満ちた作品を目にすることができ、じっくり見学する価値があります。

受賞歴
2006年「台湾工芸の家」認証取得
2013年彰化県伝統工芸「立体刺繍保存者」に登録
2017年国立彰化生活美学館にて「刺繍と纏花工芸‐許陳春立体刺繍創作展」を開催
2018年彰化県文化局主催の「彰化美術家リレー展」に出展

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